味噌ってどう選べばいいの?
そんな悩みにお答えします。
和食料理にかかせない「お味噌」は、日本伝統の発酵食品のひとつ。みそ汁や味噌だれ、炒め物などの隠し味にも使える、大事な調味料です。
しかし、スーパーなどで売られている安い味噌のなかには、
熟成による自然の旨みではなく「添加物」によって人工的に味や旨みを加えているものがあります。
カラダにいいはずの味噌なのに、これではもったいないですよね。
そこでこの記事では、市販されている味噌の種類やその違い、選ぶときのポイントをわかりやすく解説。
さらに後半では、国産原料を使用したおすすめの無添加みそを紹介します。
この内容がわかれば、市販されている味噌を正しく選ぶための知識や、自然派で美味しい本物の味噌が見つかります!
お味噌の「原料」と「種類」
味噌の原料は「大豆・麹・塩」の3種類。
大豆と麹を混ぜたものに、塩を加えて長期間、発酵・熟成させて造られます。
一 大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮してこうじ菌を培養したもの若しくはこれに米、麦等の穀類を蒸煮したものを加えたものに食塩を混合し、これを発酵させ、及び熟成させたもの
引用:食品表示基準 別表第三(第二条関係)
一般的に味噌の種類は、「米みそ・麦みそ・豆みそ・調合みそ」に分かれます。
これらの違いは使われる「麹」にあり、米みそは「米こうじ」が、麦みそには「麦こうじ」が、豆みそには「豆こうじ」が使われ、
これら2種類以上を合わせたものを「調合みそ(合わせみそ)」と言います。
味噌にはたくさんの種類がありますが、市場の約80%が「米味噌」に分類されます。
つまり、ほとんどの方に馴染みのある定番の味噌は「米味噌」です。
東海地方では豆味噌が、九州地方では麦味噌がよく食べられています。
ただし「米味噌」のなかにも、色が濃くて旨みの強い辛口、麹の割合が多い甘口など様々な種類に分かれます。
・参考:全国味噌工業協同組合連合会
色と味による分類
味噌は原料による分類以外にも、色や味によっても分けられます。
味噌は発酵・熟成する過程で、糖とアミノ酸のメイラード反応によって色が濃く変化していきますが、
この熟成期間が短いのが「白味噌」、中間が「淡色味噌」、最も長いのが「赤味噌」です。
また赤味噌は大豆を「蒸す」のに対し、白味噌は大豆を「煮る」ことでアミノ酸などを外に排出し、熟成の際のメイラード反応を抑えます。
さらに味噌の味・辛さは、含まれる「食塩の量」と大豆に対する「麹の割合(麹歩合)」によっても影響され、
食塩の量が多いほど辛味が増し、麹歩合が高いほど甘みが増します。同じ食塩の量なら、麹歩合が高い方が甘口です。
一般的に赤味噌は、塩分量が多く麹歩合が低い辛口みそ。それに対して白味噌は、塩分量が少なく麹歩合が高い甘口みそとなります。
・参考URL:みそ健康づくり委員会>みそ資料館
お味噌の「表示」と「選び方」
味噌は通常、半年〜1年ほどの熟成期間を設けますが、
なかには熟成期間を加温することで短縮し(2〜3ヶ月程度)で大量生産されているものも売られています。
このような「温醸仕込み(速醸法)」でつくられる味噌は、スーパーなどでも安く手に入りやすいというメリットもありますが、
天然熟成の本来の美味しさを損なうので、添加物や旨みエキスなどで味が調整されやすいといったデメリットがあります。
天然醸造などの「表示」の意味
添加物の入っていない無添加味噌は「原材料」を見ればわかりますが、
加温(温醸仕込み)されていないものであるかの判断基準は、
パッケージに書かれている表示の意味を知っていると見分けやすいです。
キーワード | 意味 |
---|---|
生 | 容器包装作業の前後において加熱殺菌処理をしていないもの |
天然醸造 | 加温により醸造を促進したものではなく、かつ、添加物を使用しないもの |
「手造り」等 | 「天然醸造」の使用基準を満たすもので、かつ、製造に当たり全量伝統的な手作業によるこうじ蓋方式により製麹されたこうじを使用したもの |
「長期熟成」又は「長熟」 | 同種のみそに比べて長期熟成したものであって、醸造期間を表示することにより表示することができる。 |
つまり「天然醸造みそ」や「手造りみそ」などと書かれている種類であれは、
自然に熟成され、さらに添加物による旨みや酒精などで発酵を止められていない菌が生きたままの味噌であるということになります。
「生みそ」とは、出荷前に加熱し発酵が止められていないものを指し、「長期熟成」などの醸造期間がわかるものも、ひとつの判断基準になります。
※白味噌はもともと仕込み温度が高く熟成期間も1ヶ月程度。無添加でも天然醸造などと記載できない種類もあります。
みそを選ぶなら必ず原材料を確認し、なるべく無添加なもの。
さらに「天然醸造」や「手づくり」と書かれている、発酵食品としての効果が期待できる味噌がもっともおすすめです。
使われる「添加物」と「だし入り味噌」について
味噌によく使われる添加物は、「調味料(アミノ酸等)」や「酒精」です。
「調味料(アミノ酸等)」は、化学的につくられた旨みのもと。
とくに『だし入り味噌』といった名称で売られている商品には、天然のだしだけでなくこのような人工的な旨み成分がよく加えられています。
また「酒精」とはエチルアルコールのことで、味噌の発酵を止める役割があります。
本来みそは微生物の働きによって、とくに夏場はガスが発生し容器が膨れてしまいます。
密封すると袋が破裂してしまい販売しにくいため「酒精」を入れることで発酵を止め、これを抑えます。
これを加えていない『無添加みそ』は、味噌の容器に小さな穴(通気口・バルブ)が空いていて爆発を防いだり、
低い温度だと酵母菌の発生を抑えられるため、冷蔵で販売されたりしています。
無添加・国産原料の味噌おすすめ12選!
無添加で美味しいおすすめ味噌を紹介します。
加熱や添加物によって発酵が止められていないもの、国産原料を使用したこだわりの種類を厳選しています。
※ランキングではありません。
詳しく解説します♪
【中川大吉商店】大吉みそ
中川大吉商店の『大吉みそ』は、九州産原料100%でつくられた、完全無添加の合わせ味噌です。
米麹と麦麹のブレンドですが、麦麹の割合が高く麦味噌に近い味わいです。
熊本県産の米と大豆、佐賀県産の麦、長崎県産の塩に熊本県の美味しい水を使い、木樽による伝統製法でじっくり熟成。
熊本県産フクユタカ大豆はタンパク質含有量が多く、濃い甘みと旨みがそのまま生かされています。
米、麦、大豆(遺伝子組換えではない)、塩
楽天市場又はYahooショッピングからご覧いただけます。
【山高味噌】カップ匠御膳 天然醸造みそ
山高味噌の『カップ匠御膳天然醸造みそ』は、秋田県産大豆と国産コシヒカリ米を使用し、
信州八ヶ岳の天然醸造蔵でじっくり熟成させた甘口の米みそです。
ふくよかな香りと丸みのある美味しさで、素材の味をより引き出してくれます。
大豆(遺伝子組換えでない)、米、食塩
100gあたりの食塩相当量は12.0gです。
【味噌星六】手作り味噌
1975年新潟県に創業した『味噌星六』では、すべてが国産原料 & 農薬・添加物不使用の、素材の味をいかした自然派味噌を販売しています。
どれも昔ながらの手づくりで、1〜3年かけて長期熟成。旨みやコクを最大限、引き出しています。
初めての方には、いろんな種類が入った「お試しセット」もおすすめです。
JAS認証米 秋田県産ヒトメボレ・秋田県産大豆リュウホウ・赤穂の天塩
楽天市場又はYahooショッピングからご覧いただけます。
【海の精】 玄米味噌・麦味噌・豆味噌
海の精の味噌は、こだわりの国産原料を使用した、無添加の生味噌です。
人気の『玄米味噌』から、さっぱりとした甘味の『麦味噌』、深いコクのある『豆味噌』があり、
『玄米味噌』と『麦味噌』の主原料は国産特別栽培、『豆味噌』は有機大豆を使用しています。
ミネラル豊富な伝統海塩(海の精)が旨みを引き出し、加熱処理をしていないので酵母菌や乳酸菌、酵素などの微生物が生きています。
大豆(北海道産)、米(長野産)、海の精
100あたりの食塩相当量は10.8gです。※玄米味噌
【マルカワみそ】無農薬の味噌
1914年創業・福井県にあるマルカワ味噌では、農薬・化学肥料不使用の原料を使用した、無添加みそを多数販売しています。
自然栽培の原料を使用した『白味噌』や、国産の有機大麦を使用した『麦味噌』、クラシック音楽を聴いて発酵させた甘口の『ヴィバルディ』などの多彩なバリエーション。
カラダにやさしい原材料にこだわり、それぞれに最適な方法で造られています。
大豆(無肥料・自然栽培)、 米(無肥料・自然栽培)、食塩(伝統海塩『海の精』
白味噌の食塩相当量(100gあたり)は4.6gです。
【マルマサ】無添加麦みそ
マルマサの『無添加麦みそ』は、国産原料100%の甘口タイプの麦みそです。
通常の2倍以上の麹を使用し、二段熟成によって生まれる芳醇な香りとやわらかな甘みが特徴。
毎日食べても飽きのこない昔ながらの麦みそは、発酵のちからと食物繊維がたっぷり入ったカラダに嬉しいお味噌です。
はだか麦(国内産) 、大豆(国内産) 、食塩(国内産)
塩分少なめの8.8%です。
【カクキュー】八丁味噌
カクキューは、愛知県岡崎市発祥の豆味噌「八丁味噌」を伝統製法で製造している、数少ないメーカーのひとつ。
国産大豆を使用した『カクキューの八丁味噌』は、国産大豆と塩のみを木桶に仕込み、2年以上天然醸造でじっくり熟成。
濃厚でコクのある味わいと、ほどよい酸味・渋みが魅力です。
大豆(国産)、食塩
100gあたりの食塩相当量は10.7gです。
【伊藤商店】傳右衛門みそ
伊藤商店の『傳右衛門みそ』は、国産大豆とミネラルが豊富な天日塩のみで造られた豆みそです。
愛知県武豊町の地で、江戸時代から受け継ぐ杉桶でじっくり熟成。
通常1年程度のところ、3年かけて長期熟成することで、ここだけの深い旨みとコクを生み出しています。
大豆(国産)(分別生産流通管理済)、食塩
100あたりの食塩相当量は10.16gです。
【まるみ麹本店】奇跡の味噌
まるみ麹の『奇跡の味噌』は、肥料や農薬を一切使用せずに育てられた自然栽培米と自然栽培大豆を使用した、こだわりの米みそです。
丸みのある上品な甘さで、カラダにやさしくギフトにもおすすめ。ふるさと納税の利用も可能です。
米/ NPO法人 岡山県木村式自然栽培実行委員会で育てた自然栽培米朝日100%、大豆/北海道産・岡山県産自然栽培大豆(遺伝子組換えでない)100%、塩/天日結晶塩『福塩』
100あたりの食塩相当量は11.9gです。
【目黒麹店】奥会津の米みそ
明治32年創業の目黒麹店では、福島県会津地方の原料を中心に、すべて国産素材を使用した無添加味噌を販売しています。
定番人気の『生みそ』は、会津産のコシヒカリや四国の自然海塩を使用した中辛口タイプ。
そのほか、甘口タイプの『極みそ』など5種類があり、すべて6ヶ月〜1年間 じっくり熟成されています。
米(会津産コシヒカリ)、大豆(国産)、食塩(国産)
生みその塩分濃度は13%、極みそは12%となっています。
【まるみ麹本店】美袋乃唄(糀みそ)
まるみ麹本店の『美袋乃唄(糀みそ)』は、国産米と国産大豆を使用した生みそです。
米こうじをたっぷり使用し、備長炭で覆った炭蔵で天然熟成された中辛口タイプ。
昔懐かしいまろやかな味わいで、毎日の味噌汁や、味噌だれなど万能にお使いいただけます。
米/国産米100%、大豆/国産大豆(遺伝子組換えでない)100%、塩/天日結晶塩『福塩』
100gあたりの食塩相当量は11.9gです。
【やさか共同農場】有機やさか白味噌
島根県弥栄町のやさか共同農場でつくられる『有機やさか白味噌』は、有機大豆と有機米を使用した米味噌です。
約1ヶ月かけて熟成したまろやかな甘みの白味噌は、塩分控えめ。米こうじの自然の甘さが魅力です。
もともと熟成期間が短く、とくに関西地方で食べられる白味噌ですが、お味噌汁だけでなく酢味噌、味噌漬けなど様々な料理にご活用いただけます。
有機大豆(国内産)、有機米、米麹、塩
塩分約6%です。
まとめ:本物の無添加味噌は、からだにやさしい。
市販されている味噌の注意点と、おすすめの無添加みそを紹介しました。
味噌には多くの種類がありますが、ネットのランキングなどで上位になっている評判のみそには多くの添加物が使われる傾向にあり、
そういった安い味噌の方が売れる悲しい現状にあります。
添加物によって味が調整されていたり、本来の熟成期間を設けていない「みそ」は、
発酵食品としての効果が薄れてしまうだけでなく、そもそも美味しくないものが多いです。
味噌は日本伝統の発酵食品であり、私たちのカラダに様々なメリットをもたらしてくれます。
ぜひ「本物の味噌」を選んで、カラダとこころにやさしい食生活を楽しんでくださいね。