フライパンの安全性が気になる……。
そんな悩みにお答えします。
どんな料理にも使える、万能な調理器具といえば「フライパン」。
一人暮らしの方や、普段あまり料理をしなくても、これだけは持っているという方も多いのではないでしょうか?
でもフライパンってたくさんの種類があって、違いがよくわからないといった声も多いです。
また最近ではその安全性が注目され、「PTFE・PFOAフリーが安全」「テフロン加工は危険」「フッ素には有害物質が含まれる」なんて意見を耳にします。
でも実際、どういう理由で何が危険なのか?を詳しく解説されているものは少なく、逆に混乱を招いているのが現状です。
そこでこの記事では、フライパンの種類について、「素材」や「コーティング」の違いを徹底比較。
どんなフライパンが買ってはいけないのか?逆に、どこのメーカーが安全性が高くおすすめなのかまで徹底解説します。
この記事を読めば、数多く売られている「フライパン」や「鍋」の見分けがつくようになり、商品選びに役立ちます。
自分に合った素材やメーカーがきっと見つかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
フライパンの「素材」について
フライパンには様々な種類がありますが、大きな違いは「素材」と「表面コーティング(加工)」です。
まず「素材」には、アルミ・ステンレス・鉄などがあり、最もよく使われるのがアルミニウム製のフライパンです。
アルミニウム製は危険?
家庭用のフライパンでは、軽くて熱伝導率の高いアルミニウム 素材がよく使われ、
また、その製品のほとんどに表面コーティングが施されてます。
アルミニウム自体の安全性について、過剰摂取は健康に影響を及ぼす と懸念されていますが、
一方でカラダに入っても約99%が排出される ことも分かっています。
もちろん大量に摂取した場合に害があるのは事実であり、ベーキングパウダーなどの食品には注意が必要 です。
調理器具からの影響は極めて低いと考えられていますが、かと言って食品中に溶け出す可能性もゼロとも言えません(融点660℃)。
気になるようであれば、表面加工なしのアルミニウム製のものは避けたほうが無難です。
・グリーンパン…(素材)アルミニウム合金・(加工)セラミックコーティング
ステンレス製はおすすめ?
ステンレス (ステンレス鋼)は、サビや高温に強いという特徴を持っていて、
スプーンやフォークなどのカトラリー類、流し台など様々な場面で使われています。
また一般的なアルミ製のフライパンとは違い、表面加工されないので剥がれる心配もありません。
しかし、熱伝導率がよくないといったデメリットもあります。
そのため鍋の素材として使われることが多く、フライパンではアルミを挟んだ多層構造になっているのが一般的です。
ステンレス鋼は熱伝導があまりよくないので、ステンレス鋼でアルミを挟み込んだ三層構造クラッド鋼などにして対策される[550]。
引用:ステンレス鋼
ステンレスは、「熱伝導率が悪いが冷めにくい」、逆にアルミニウムは「熱伝導率が高いが冷めやすい」。
これらをうまく組み合わせることで、熱伝導率が高くて冷めにくいといった製品がつくられています。
鉄のフライパンは長持ち?
鉄 のフライパンは、耐熱性が高くキズもつきにくいため、使いこなせば一生使えるコスパの良さが最大のメリットです。
さらに高温調理が可能で、オーブンなどにも使えるため料理好きの方にも人気があります。
また鉄は人体には無害とされていて、鉄分補給にも役立ちます。
人体に必要なミネラルの一種で、赤血球のヘモグロビンに多く存在する。不足すると貧血を起こす。
引用:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
しかし実際には、「サビやすく取り扱いが難しい」、「重い」などの理由で家庭で使っている人は少なめ。
鉄製のフライパンは、使用前に「焼き入れ」を行ってサビ止めを落とし、表面に油膜をつくる「シーズニング」作業が必要で、
これを行うことで表面加工のような焦げつきを防ぐ効果を発揮します。
最近ではYouTubeなど、無料でわかりやすくシーズニング方法が解説されていたり、
そもそもシーズニング済みの状態で販売されているものもあり、これだと最初の手間がなくすぐに使えるのでおすすめです。
フライパンの「表面コーティング」について
フライパンの「表面コーティング」は、調理時の焦げつきやこびりつきを防ぐためで、
よくあるアルミ素材の製品には、ほとんどにこの加工がされています。
テフロン・フッ素加工(PTFE)
一般的なのはテフロン(フッ素)加工のフライパンです。
テフロンとは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) というフッ素樹脂 のことで水分・油分に強く、
フライパンの表面に加工すると滑りが良くなり焦げつきを防ぐ効果があります。
「ダイヤモンド加工」や「マーブルコート(大理石)」と呼ばれる種類も、ほとんどがこのフッ素加工に含まれます。
これらはフッ素樹脂にダイヤモンドやマーブルを入れて耐久性を上げたものです。
フッ素加工のデメリットは、徐々に劣化し表面が剥がれていくということ。
もともと摩擦に弱いのですが、とくに安いフッ素加工のフライパンは半年〜1年でキズや焦げつきが目立ってくるものもあるようです。
ポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene, PTFE) はテトラフルオロエチレンの重合体で、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)である。テフロン (Teflon) の商品名で知られる。化学的に安定で耐熱性、耐薬品性に優れる。
引用:ポリテトラフルオロエチレン
またPTFEは、約260℃を超えると劣化しはじめ、500℃以上で有害なガスを発生 することが分かっています。
約260°Cに達すると劣化し始め、約350°C以上になると分解し、500℃以上に加熱すると有毒なポリマーガスが発生する可能性が報告されているので注意が必要である[4][5]。
引用:ポリテトラフルオロエチレン
しかし通常の調理では、260℃をこえることは考えにくく、
最近のコンロには安全装置や自動停止機能がついているので空焚きのまま放置するなどの心配もいらないかと思います。
家庭用コンロによる火災の多くは、調理油過熱によるものと考えられています。
引用:なぜ全てのコンロにセンサーが付いたの?
それらの事故を防止するために2008年10月よりガスコンロが法制化され、全口センサー搭載が義務化されました。
そのため「フッ素加工のフライパンや鍋は危険である」とまでは言い切れませんが、次に解説する環境問題に関する理由から積極的におすすめはできません。
・参考:テフロン加工フライパン 4 時間の過燃焼により生じたフューム吸入による肺水腫の 1 例
「PFOA」は禁止されている
テフロン加工において、PFOA を心配している方も多いかもしれません。
PFOA(ピーフォア)とはペルフルオロオクタン酸の略称で、テフロン合成の添加剤として使われる物質ですが、製造における環境汚染や人体への影響が指摘されてきました。
しかし2019年5月ストックホルム条約 を受けて、EUでは2020年7月から製造および流通が原則禁止になり、日本でも2021年10月から製造・輸入が原則禁止 になっています。
つまりこれから新しくフライパンを購入する際に、PFOAを気にする必要はないということ。
わざわざ「PFOAフリー」と書かれている商品を探す意味はないかもしれません。
使われ続ける「PFAS」
危険性の高いPFOAについて、現在では使われていないことを解説しました。
しかし「フッ素樹脂加工」を行うには界面活性剤を使用しなければ製造できないので、禁止されたPFOAの代替えを使わないといけません。
残念ながらそこで使わているのが、同じ有機フッ素化合物(PFAS)に属する物質です。
禁止されている「PFOS」・「PFOA」・「PFH×S」はいずれもPFASに含まれます。
PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称です。種類は4,700以上といわれています。水や油をはじく効果があり、熱にも強いことから半導体や包装紙、防水服など身近な製品に使われ私たちの暮らしを支えています。ただ、一部は分解されにくく、体に蓄積されるため、人への有害性が指摘されるものもあります。
引用:追跡“PFAS汚染” 暮らしに迫る化学物質
PFAS汚染は、フッ素加工のフライパン製造だけによるものではありませんが、分解されずにヒトや生態系に影響を及ぼします。
このような理由からテフロン加工・フッ素加工は、いくら使用方法を間違えず安全に使っていても、
実は回り回って地球や人体に影響を及ぼしている可能性があることを考えれば、おすすめするできる理由はないと考えています。
これから買い替えるなら、間違いなくフッ素不使用のフライパンがおすすめです。
紛らわしいですが、「PFOAフリー」ではなく「PFASフリー」の製品を探すのがおすすめです。
参考URL:・「PFAS」とは? 世界の規制状況・健康への影響は? /・PFASの一種「PFHxS」を製造使用禁止へ 6月から輸入できず
セラミック加工
セラミック加工は、フライパンの表面をセラミック (セラミックス)の薄い膜で覆う技術です。
セラミックとはギリシャ語で「keramos=粘土を焼き固めたもの」という意味を持ち、
テフロンよりも耐熱性にすぐれ、高温でも有害な物質は発生しません。
セラミックは、総じて以下の様な特性を持っています。
1)常温で固体
2)硬度が高いが脆い。
3)耐熱性に優れるが熱衝撃に弱い。
4)サビや腐食、溶解などの劣化が起こりにくい。
引用:セラミックとは
フッ素加工よりも安全性や耐熱性が高いセラミックですが、
必ず油を引かないといけない、急激な温度変化に弱いなどのデメリットもあるので、使用方法を正しく守って使う必要があります。
テフロン・フッ素加工なしのおすすめフライパン6選!
有害物質(PFAS)を含まない、おすすめのフライパンやそのメーカーを紹介します。
ギフトにも人気のセットや、取っ手がとれるシリーズ、コーティングなしの鉄フライパンまで。
すべてフッ素・テフロン不使用の、環境に配慮されたシリーズです。
メーカー | 本体の素材 | 表面コーティング |
---|---|---|
グリーンパン | アルミニウム合金 | セラミック・ ノンスティックコーティング |
ジオ・プロダクト | ステンレス/アルミニウム/アルミニウム合金 | なし |
ビタクラフト・スーパー鉄 | 鉄 | なし |
ビタクラフト・オレゴン | ステンレス/アルミニウム | なし |
FD STYLE | 鉄 | なし |
ラフリンクルズ | 鉄 | なし |
※ランキングではありません。
詳しく解説していきます♪
【グリーンパン】セラミックフライパン・鍋
グリーンパンは、フッ素樹脂を使用しないノンスティックコーティングの調理器具を、世界ではじめて開発したベルギー発のメーカーです。
環境に影響を及ぼすフッ素樹脂コーティングの替わりとして、防煙素材に使われていたセラミック塗膜に注目。
2007年に有害なPFAS を一切含まない、特許取得のセラミック・ノンスティックコーティング(サーモロン)を開発しました。
現在では、ダイヤモンド粒子を加えたことでさらに強化。耐久性も高まりより長持ちします。
耐熱温度は約450℃。加熱し過ぎてしまっても有害ガスの心配はありません。
遠赤外線効果のあるセラミックと、熱伝導・熱拡散に優れたダイヤモンド粒子の相乗効果で早く温まり、省エネ調理が可能です。
フライパンや鍋だけでなく、卵焼き用の『エッグパン』、取っ手が取れる『クリックシェフ』シリーズなど多くのラインナップからお選びいただけます。
・素材:アルミニウム合金
・表面加工:サーモロン™セラミック・ノンスティック・コーティング
・重量:840g(26cm メイフラワー)
・対応熱源:IH(電磁調理器)、ガスなど
・その他:PFAS・鉛・カドミウム不使用、フッ素加工フライパン製造時のCO2排出量を60%削減、古いフライパンを無料回収(※買い替え
・公式サイト:グリーンパン公式オンラインストア
【ジオ・プロダクト】ステンレス製 フライパン・鍋
宮崎製作所のジオ・プロダクトは、実用性と見た目の美しさを追求した、クッキングウェアブランド。
素材は、アルミニウムをステンレスでサンドした全面7層構造になっていて、
「熱伝導効率」と「保温性」が高く、小さい熱量でムラなく早く調理ができます。
さらに、本体とフタが密着することで内部を定温・定圧に保つ「ウォーターシール効果」により無水調理も可能。
深型の『鍋』タイプならケーキが焼けたり、お米がふっくら炊き上がります。
国内製造で15年の長期保証。アフターフォローで修理も可能と、購入後のサポートも充実しています。
・素材:本体=全面7層構造(内側から18-8ステンレス/アルミニウム/アルミニウム合金/アルミニウム/アルムニウム合金/18-0ステンレス)蓋=18-8ステンレス つまみ・ハンドル=18-8ステンレス
・表面加工:なし
・重量:約1.9kg(ソテーパン25cm)
・対応熱源:ガス、ハロゲンヒーター、クッキングヒーター、IH(電磁調理器)、オーブン
・その他:日本製造、15年保証
焼く・煮る・ゆでる・炊くをひとつに!
【ビタクラフト】スーパー鉄 フライパン
ビタクラフトの『スーパー鉄』シリーズは、窒化4層加工によって錆びにくく、
焼き入れや油ひきなどの最初のお手入れが不要な鉄フライパンです。
「窒化加工」とは、航空機などに使われる加工技術。
鉄の内部に窒素を浸透させることで表面強度を高めるほか、これによってできた表面の凹凸により油の吸収率がアップします。
使うほどにこびりつきにくくなるので、使用後はぬるま湯でさっと洗うだけでOKです。
・素材:本体=鉄(窒化加工)、ハンドル=ステンレススティール
・表面加工:なし
・重量:約963g(26cm)
・対応熱源:ガス、IH(電磁調理器)
・その他:国内製造、金属ツール使用可能
鉄フライパンが初めての方にもおすすめ!
【ビタクラフト/オレゴン】ステンレス製フライパン・鍋
ビタクラフトのオレゴンは、ステンレスをアルミで挟んだ5層構造のフライパンや鍋のシリーズです。
本体とフタが密着するように設計されているので熱や水分が逃げにくく、
食材の水分のみでの無水調理や、余分な油を使わない無油調理が可能です。
・素材:ステンレス・アルミニウム
・表面加工:なし
・重量::1.6kg(オレゴン25.5cm)
・対応熱源:ガス、IH(電磁調理器)、ハロゲンヒーター、ラジエントヒーター、シーズヒーター
・その他:10年保証
ミラー仕上げのおしゃれなデザイン♪
【FD STYLE】 鉄のフライパン
FD STYLEの『鉄フライパン』は、サビに強い鉄製のフライパンです。
本体に施された「OXYNIT加工(酸化+窒化)」によりサビに強く油なじみがよくなり、
「スピニング加工」により軽量化されているので、キャンプなど持ち運びにも便利。
天然竹を使用したおしゃれなハンドルも魅力です。
・素材:質:本体=鉄(OXYNIT加工)、ハンドル=天然竹、金具=ステンレススチール
・表面加工:なし
・重量:約975kg(26cm)
・対応熱源:IH・ガス火
・その他:日本製、金属ツール使用可能
使い始めの空焚きは不要ですが、油ならしは行うのがおすすめです。
【LAUGH WRINKLES】使いこむほどに育つ鉄フライパン
ラフリンクルズの『使いこむほどに育つ鉄フライパン』は、
初めて鉄フライパンを使う方や、キャンプなどアウトドアシーンにもおすすめのシリーズです。
使う前のシーズニング作業は、事前に職人の手により対応済み。届いたらすぐに使うことができます。
一枚の鉄板を伸ばし成形する製造方法により、底面の厚さはそのままに、側面を薄く伸ばすことで軽量化。
さらに表面に微細な凸凹加工を行うことで、焦げ付きにくくなっています。
使用後は洗剤をつけず、たわしで洗い流すだけでOK。
持ち手が熱くならない白木(ブナ材)のハンドルは自然木を使用しているので、一つ一つがオリジナルで愛着のわくデザインです。
・素材:質:本体=鉄、ハンドル=ブナ材
・表面加工:なし
・重量:約1kg(26cm)
・対応熱源:IH・ガス火
・その他:日本製
ギフトにもおすすめ♪
まとめ:安心安全なフライパンは長持ち!
フライパンの種類や選び方、フッ素やテフロン加工の問題点、さらにおすすめのフライパンを紹介しました。
テフロン・フッ素加工は度々その危険性が話題になりますが、実際には使い方を間違わなければ、さほど問題ではありません。
しかし製造過程で使用される化学物質により、人や環境に良くないことが分かっています。
これから買い替えるなら、①セラミック加工のもの ②ステンレス製のもの ③鉄製のもの から選ぶのがおすすめです。
とくに鉄製のフライパンは、安全性だけでなく一生使えるとってもコスパの良いアイテムです!